「ちょっとiPhone貸して」が怖い。ゲイのスマホには秘密が多すぎる。

「ちょっとiPhone貸して」が怖い。ゲイのスマホには秘密が多すぎる。

友達と一緒にいるとき、「さっき撮った写真見せて」と言われる。家族から「ちょっとiPhone貸して」と頼まれる。そんな何でもない場面で、一瞬だけ手が止まることはありませんか。

スマホを見られたくないのは誰にでもあることです。ただ、ゲイであることを周囲に話していない人の場合、そこにはもう一つ別の理由が重なることがあります。

自分がまだ誰にも話していないことを、スマホだけは全部知っているからです。

「この前の写真見たい。ちょっとiPhone貸して」
「あ、ちょっと待って」
「ん?どうした?」
「いや、別に何でもない」

本当に何でもない。そう言いながら、頭の中では一瞬だけいろいろ考えているかもしれません。

友人にスマホを渡すのを一瞬ためらう成人男性

スマホを渡した瞬間、気になり始めるもの

自分で操作しているときは何とも思わないのに、誰かの手にスマホが渡った途端に気になるものがあります。

19:42PRIVATE
スマホの中にあるもの
写真一緒に出かけた男性との写真。その前後まで見られたら少し困る。
通知男性から届いたメッセージや、出会いに使っているサービスからの通知。
検索履歴ゲイ、恋愛、出会い、掲示板。誰にも聞けず、自分だけで調べた言葉。
メッセージ少し読まれただけでも、ただの友達ではないと分かる会話。

どれも特別なものではありません。スマホを日常的に使っていれば自然に残っていくものです。

それでも、ゲイであることを家族や友人、職場の人に話していないなら、そこから自分が話すつもりのなかったところまで見えてしまう可能性があります。

通知は、こちらの都合を待ってくれない

スマホの中まで開かれなくても、通知だけで焦ることがあります。机の上に置いたiPhoneが光り、そこに男性の名前とメッセージの一部が表示される。普段なら何とも思わない通知が、家族や職場の人の前では急に気になる。

男性の名前が出ただけで何かが分かるわけではありません。けれど、内容によっては「誰?」と聞かれるかもしれません。

まだカミングアウトしていない場合、その質問にどう答えるかを突然考えることになります。

何でもない通知だったはずなのに、その一瞬だけ、自分のスマホが自分より先に何かを話し始めたように感じることもあります。

検索履歴には、誰にも聞けなかった自分がいる

初めて男性を意識したとき。自分がゲイなのか分からなかったとき。周囲に相談できる相手がいなければ、最初にスマホで検索したという人もいると思います。

誰かに声に出して聞くには勇気がいることでも、検索欄になら入力できます。

そこから同性を好きになることについて調べたり、ゲイの恋愛について読んだり、実際に男性との出会いを探したりすることもあります。

検索した言葉がその人のセクシュアリティを決めるわけではありません。それでも、誰にも言えなかった疑問ほどスマホの中に残りやすいのは確かです。

写真フォルダは、説明していない関係まで知っている

二人で出かけた日の写真
同じ男性との写真が何枚も並んでいたら?

付き合っている男性がいれば、二人で出かけた写真が残っていることもあります。恋人ではなくても、仲のいい男性や以前会っていた相手との写真が入っているかもしれません。

一枚だけなら普通の写真でも、同じ男性との写真が何枚も続けば「この人誰?」と聞かれることがあります。

相手との関係を後ろめたく感じているわけではなくても、まだ説明するつもりがないなら、その質問には少し困ります。

友達に一枚だけ写真を見せたつもりが、そのまま横にスワイプされる。そんな小さな場面でも、自分では見せるつもりのなかったところまで見られてしまうことがあります。

写真を見せながら友人と過ごす男性

恋人も、セフレも、掲示板も。スマホの中では全部いつもの日常

ゲイの出会いをネットで探しているなら、スマホにはさらに個人的なやり取りが増えていきます。

掲示板で気になる男性の募集を見たり、プロフィールを確認したり、知り合った相手と連絡を取ったりする。恋人を探している人もいれば、友達やセフレを探している人もいます。

本人にとっては、それも特別な秘密というより普通の日常です。

ただ、その普通の日常を誰にでも見せたいわけではありません。ゲイであることをオープンにしている人でも、恋人とのメッセージやセフレとのやり取り、掲示板で探している相手まで周囲に見せる必要はないはずです。

「ゲイであることを隠していない」と「スマホの中を全部見せる」は、まったく別の話です。

スマホは、自分より先に
カミングアウトすることがある。
だから、誰に何を見せるかは自分で決めていい。

カミングアウトには「境界線」がある

ゲイであることを話しているかどうかは、単純に「公表している」「隠している」の二つだけではありません。

家族には話しているけれど職場では話していない人もいます。親しい友達には話していても、恋愛について細かく話さない人もいます。

家族には話している
職場では話していない
ゲイだとは話している
恋愛の話まではしない
恋人の存在は話している
二人の会話は見せない
友達にはオープン
スマホの中身はプライベート

どこまで話すかは人によって違います。相手によって変えてもおかしくありません。

スマホの中身についても同じです。誰かに見せないからといって、必ずしも自分を否定しているわけではありません。

自分について話すことと、自分のプライベートを全部公開することは別です。

「隠している」と「見せない」は同じではない

スマホを見られたくないと感じると、「自分はゲイであることを隠しているからだ」と考えてしまうことがあります。

でも、誰と付き合っているのか、誰とメッセージしているのか、どんなサイトを見ているのか、何を検索したのか。それをどこまで他人に話すかは自分で決められることです。

恋人との会話を見せたくない。セフレとのやり取りを見せたくない。ゲイ掲示板でどんな募集を見ているのか知られたくない。

それはゲイであることそのものを隠しているのではなく、単純に人には見せない場所を持っているというだけかもしれません。

気になるなら、スマホ側の境界線も作っておく

誰かにスマホを渡すたびに緊張するなら、少し設定を見直しておくだけでも気持ちは変わります。

プライバシー
ロック画面にメッセージ本文を表示通知の内容まで他人から見える必要があるか確認する。
OFF
写真を見るため端末ごと渡す必要なら自分で持ったまま写真を見せる。
OFF
端末のロック自分以外が簡単に開けない状態にしておく。
ON

目的は「ゲイだと知られないためのiPhone」を作ることではありません。

誰に何を見せるのかを、自分で選べる状態にしておくことです。それだけでも「ちょっと貸して」と言われたときの余計な緊張は減らせます。

スマホの中には、まだ言葉にしていない自分もいる

初めて男性を好きになったときに検索したこと。ゲイについて調べた夜。掲示板で初めて誰かに連絡したこと。好きになった男性とのメッセージ。二人で出かけた日の写真。

それらは他人から見れば、ただの履歴やデータかもしれません。

でも、自分にとっては少しずつ積み重なってきた時間です。

誰にも話していなかった頃から、スマホの中には男性を好きになった自分がいたのかもしれません。

だから、見られたくないなら無理に見せなくていいと思います。

いつか誰かに話したいと思ったときには、自分の言葉で話せばいい。通知や写真や検索履歴に、自分の代わりに説明してもらう必要はありません。

見せないことは、隠すこととは違う。

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